V.実践編1
呼吸法について

普段、「呼吸」を意識することはあまりないかもしれません。しかし、歌うということは、吐く息(呼気)をコントロールしていくということです。ヴォイス・トレーニングは、呼吸器官を鍛えていくということとも密接ですので、まずは、自分のカラダの中で起きていることを意識してみるところから始めてみましょう。
無意識から意識化することで、思わぬ発見があるかもしれません。また、ゆったりとした気持ちで、呼吸を見つめ直すことは、カラダの中にたまったストレス成分を解消していく効果もあるといわれています。
次に、具体的な呼吸法についてお話ししていきます。
〜!注意!〜ただし、下記はあくまでも健康なカラダに対してのトレーニング方法です。体調の悪い方、呼吸器官等に障害をお持ちの方は、お医者様とご相談の上、行ってください。万一、下記トレーニングにより、事故や病気を引き起こしても、当方では責任を負いかねますので、ご了承くださいませ・・・。
1.静かで落ち着いたところで、仰向けに大の字で寝ます。
目をつぶり、まず全身の力を抜くところから始めます。
指先、足先、肩、首、腰の辺りは特に注意。意外と力が入っているものです。
最後に奥歯の噛みしめも解いてあげてください。
2.全身の力が抜けたら、次に呼吸に集中します。呼吸に集中すると、不思議と頭はカラッポに。おなかに両手をのせ、おなかでゆっくり呼吸をしてみてください。睡眠中は、だれでも、このおなかでの呼吸(腹式呼吸)をしています。
3.次に、鼻からゆっくり息を吸って、もう入らないというところまで、おなかに空気をためてみましょう。たまったら、今度は口からゆっくり吐いていき、もう吐けないというところまで吐いてみましょう。これをゆっくり自分のペースで繰り返します。このとき、首や肩、背中などに力が入らないように気をつけてください。
〜全身に新鮮な空気を取り込み、その日にたまった悪い気をすべて吐き出してしまうような気持ちでやってみてください。すっきりしますよ。〜
いかがでしたか?
自分の体の中で無意職に行われていることに目を向けてみることで、徐々にカラダのすみずみまで、細かな意識ができるようになることは、ヴォイストレーニングの第一歩です。歌うことは、イメージトレーニングとも密接です。自分のカラダの中の動きをイメージトレーニングしていくことで、よい声の出やすいカラダ作りに
備えてみましょう。
< 胸式呼吸と腹式呼吸 >
「歌う」ことは、呼吸をコントロールすることでもあります。呼吸には大きく分けて、胸で行う「胸式呼吸」と、おなかで行う「腹式呼吸」とがあります。といっても、実際にはどちらも肺を通して行う呼吸であり、おなかで呼吸をするわけではありません。
「胸式呼吸」とは、走った後などにみられるように、肩が上下するような(胸から上だけで呼吸するような)浅い呼吸のことです。一方、「腹式呼吸」とは、「横隔膜呼吸」ともいわれ、肺の下にナベのふたのようなドーム型で付いている横隔膜に作用する呼吸です。 図をご覧ください。
(図3)

(図4)
おなかで呼吸するというのは、実際には、肺がふくらむと、それによって横隔膜が下へ押し下げられ、おなかの周り(脇腹、背中も)が広がることで、おなかで呼吸しているような感覚になるということです。
この「腹式呼吸」は、「胸式呼吸」と比べ、深い呼吸なので、呼吸のコントロールがしやすく、歌に向いています。
(ただし、実際に歌うときには、「胸式」「腹式」どちらも使われます。)
では、今度は立った姿勢で、この「腹式呼吸」を行ってみましょう。
1.全身が映るような鏡の前に、横向きで立ちます。自然に立った自分の姿をよく見てください。いろいろな立ちグセがあるものです。
2.次に、足を肩幅に開きます。カラダの中心線がゆがまないよう、まっすぐ立ってみてください(カラダの中心に太い柱が立ってるようなイメージを持ってみてください。)
アゴは軽く引き、目線は少し上、胸を開くイメージです。ただし、首や胸、背中が必要以上に後ろへ反り返らないよう。また、肩が内側へ入ったり、腰が前へ突き出たりしていないか、注意して見てください。あくまでも、余分な力がどこにも入らないように。ただしダラッとするのではなく、適度に柔軟性のある、まっすぐな立ち方を心がけてください。
3.寝て行ったときとは別で、今度は息を吐く練習です。立ったまま、おヘソから5〜6cm下あたりの下っ腹を筋肉の力でゆっくりとヘコましてゆきます。しっかりヘコましたら、ゆるめる。これを、姿勢をくずさないようにしながら、ゆっくり自分のペースで繰り返してください。このとき、肩や首に力が入らないよう、また、肩が上下しないよう、くれぐれも注意してください。
4.上記がスムーズにできるようになったら、今度は、その動きに息をつけます。下っ腹をヘコましながら、息をゆっくりと吐いていきます。下っ腹の筋肉をカラダの奥に集めることで、息を送り出していく感覚です。ある程度送り出したら、ゆるめる。ゆるめると同時に不足した分の息が今度はカラダに取り込まれます。言葉で書くとちょっとわかりにくいかもしれませんが、要は下っ腹の奥の筋肉を使って息を送り出す練習です。初めのうちは、胃の辺りやおヘソの周りの筋肉が固まるかもしれませんが、大事なのは、おなかの内側の筋肉を使って、息を送り出すことを意識的にカラダに覚えさせるということです。
いかがでしたか?はじめのうちは、カラダのどこかに力が入ってしまったり、正しい姿勢で立てなかったりすると思いますが、あせらず地道に繰り返してみてください。毎日少しずつ、繰り返し行うのがヴォイストレーニングです。
クリック → 次のページへ
→ 元のメニューページへ戻る
|